介護施設に入所する際の身元保証には、多くの問題があります。

いくつかの事例と情報を紹介させていただきます。

相談は、90歳の認知症で判断能力が無くなった父が長男を身元引受人として某介護施設に入所していたところ、長男が急逝して、その相続人の妻と子供が引受契約の相続を拒否して、二男に身元引受人になって欲しいと要請してきたが、二男は介護施設所在地から離れたところに住んでおり、長男の妻に身元引受人を継続させる方法はないかとの質問でした。

長男死去で長男の身元引受人たる地位は相続人である妻とその子供に承継されますが、施設側では長男死去後、責任を明確にするため相続人の妻や子供に対し、新たに身元引受契約を締結することを求めます。
長男の妻と子供はそれを拒否し、長男の次は二男が身元引受人になるのが筋であると二男に身元引受人承継を要求してきたとのことで、世間では良くありそうな問題です。

成年後見制度のうち、法定後見制度において、判断能力が不十分なために保護の必要があると思われたとき、又は将来そうなるであろう思われたときには、家庭裁判所への申立により、家庭裁判所の審判を経て、後見、補佐、補助のいずれかを利用できて、それぞれ後見人、補佐人、補助人が選任されて、身元保証をはじめとするサポートを受けることができます。

したがって、いちばん良いのは、これを利用することです。

原則として、
認知症、知的障害、精神障害等により判断能力が劣ることが前提で、ただ単に身体的な障害があるだけでは認められません。

65歳以上の者、又は知的障害者、精神障害者で、上述の制度の利用が必要であるにもかかわらず、身寄りとなる者がいないなどの理由により、申立を行なえる人がいない場合には、市区町村の高齢者福祉担当課等を通じて申請を行なうと、市区町村長が申立を行なうことができ、弁護士等のしかるべき後見人、補佐人、補助人をつけてもらえるため、このような方を身元保証人にすればよろしいかと思います。

根拠法は以下です。審判の請求、というのは上述の申立のことです。

老人福祉法 第32条:
市町村長は、65歳以上の者につき、
その福祉を図るため特に必要があると認めるときは、
民法第7条、第11条、第13条第2項、第15条第1項、
第17条第1項、第876条の4第1項
又は第876条の9第1項に規定する審判の請求をすることができる。

知的障害者福祉法 第28条:
市町村長は、知的障害者につき、
その福祉を図るため特に必要があると認めるときは、
民法第7条、第11条、第13条第2項、第15条第1項、
第17条第1項、第876条の4第1項
又は第876条の9第1項に規定する審判の請求をすることができる。

精神保健福祉法 第51条の11の2:
市町村長は、精神障害者につき、
その福祉を図るため特に必要があると認めるときは、
民法第7条、第11条、第13条第2項、第15条第1項、
第17条第1項、第876条の4第1項
又は第876条の9第1項に規定する審判の請求をすることができる。