
人が亡くなって発生した相続には、民法上で「法定相続分」という各相続人の財産取得割合が定められてはいます。しかし原則として、相続ではご本人の意思が反映された「遺言書」が優先されます。遺言書とは、ご自身が亡くなった時にどの財産をどのように誰に分配して相続させるのかを指示できる、法的な書面となります。遺言書が遺されていた際には、相続人は遺言書の指示内容に沿って相続手続きを進めることになるため、相続の際の遺言書はとても大きな存在です。
ところが、せっかく用意をしたとしても、定められたルールに則って作成されていない遺言書では法的に無効と見なされてしまい、相続手続きには使えないといった事態にもつながりかねません。
こちらのページでは遺言書を作成する際の基礎知識や、押さえておきたいポイントについてご案内をいたします。
3種類の遺言書(普通方式)
普通方式の遺言書の種類として「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の大きく3つがあります。3種類の遺言書には、それぞれ特徴やメリット・デメリットがあり、遺言書を作成する場合はそういった事を理解した上で、ご自身に最も相応しい方法を選択出来るようにしましょう。
①自筆証書遺言
自筆証書遺言は、ご紹介する3種類の遺言書の中では最も手軽に作成する事ができる遺言書です。作成方法としては、遺言の全文・日付・署名を遺言者がご自身で書き記し、実印を押して作成します(添付する財産目録は遺言者の自書でなくても構わない)。作成場所や時間を問わず、作成費用も特に不要なので、ご自宅ですぐにでも作成が可能であるため、その手軽さが最大の特徴でありメリットと言えます。
しかしその手軽さの反面、もし定められたルールに則って遺言書が書かれていないケースでは、前述したように法的に無効とみなされる可能性があります。そして、遺言書の自宅保管では、紛失や第三者による改ざん、自分が亡くなった後に相続人に発見されない等、様々なリスクが存在します。
法務局に自筆証書遺言を保管する「自筆証書遺言保管制度」(2024年7月~)を利用する事なく、自宅等で自筆証書遺言を保管していた場合ですと、相続人が遺言書を開封する為には、家庭裁判所による検認を必ず受けなければならない事も覚えておきましょう。自筆証書遺言保管制度を利用した場合は、相続発生時の検認は不要となります。
②公正証書遺言
公正証書遺言とは、遺言者が口述した遺言内容について、証人2人以上が立ち会った上で、法律の知識を備えた公証人が文字に起こして作成する形式の遺言書になります。
自筆証書遺言とは違い、法律の理解がある公証人が文字に起こす遺言書は、形式不備によって遺言書が無効となるリスクを排除できます。そして、公正証書遺言の原本は公証役場にて厳正に保管されるので、改ざんや紛失といったリスクを防ぐこともできます。
加えて、自宅保管の自筆証書遺言に必要であった遺言書開封時に検認手続きも不要となるので、いざ相続を開始したタイミングで直ちに相続手続きへ進めることができるのでとてもスムーズです。
公正証書遺言作成には公証人・証人を手配する手間や、公証人に支払う手数料など費用が掛かかりますが、遺言者・相続人の双方にとって安心安全の遺言方法といえるのではないでしょうか。
③秘密証書遺言
秘密証書遺言はその名のとおり遺言内容を秘密にできる遺言書です。その方法とは、ご自身で作成した遺言書を封をして公証役場に持参し、証人2人以上の立ち会いのうえ公証人によってその遺言書の存在を認めます。ご注意いただきたい点は、公証人は遺言書の存在を認めるだけで遺言内容や形式については確認をしないという事です。よって不備により無効となるリスクが発生します。そして、この方法には費用もかかります。以上の事から、この方法を利用するケースは前述の2つに比べると少ないのが現状です。
遺言書作成におけるポイント
当然の事ですが、遺言書の効力が発生するのは遺言者がお亡くなりになった後ですので、ご本人がその遺言書の内容を実行し、実際の相続手続きを行える訳ではありません。実際に遺言書の内容に沿ってその手続きを行うのは相続人であり、その遺言書に遺した相続手続きをより確実なものに近づけるためのポイントについて、ご案内してまいります。
ポイント①遺言執行者の指定
遺言書の中では「遺言執行者」を指定する事が可能です。遺言執行者とはその遺言書の内容を実現させるべく手続きを推し進める権利、そして義務を有します。
遺言執行者は遺言書の中で指定します。遺言書の内容をより確実に実行してもらうために、ご自身が信頼できる方に遺言執行者をお任せすると良いでしょう。法律の知識を持つ専門家にに遺言執行者をお任せする方法も、安心な選択方法の一つです。
ポイント②遺言書の保管場所
遺言書の保管場所には十分に気をつける必要があります。どんなに心を込めて作成した遺言書であっても、相続のタイミングで相続人に見つけて貰わなければ、意味がなくなってしまいます。そして、遺言書を誤って紛失してしまう、もしくは第三者が遺言内容を改ざんしてしまうというリスクも考えて、保管場所を選ばなくてはなりません。
相続人にとっても、遺言書の有無や保管場所を確認する事はとても重要なことです。遺言書が在ると無いでは、相続の進め方が異なります。遺言書の保管場所は作成した遺言書の種類により違うため、自宅や法務局、公証役場など様々ですので、詳細は下のリンクよりご確認ください。
以上、遺言書の作成で気をつけて頂きたいポイントをご紹介しました。皆さんが用意した遺言書が、相続が発生した際にスムーズに発見されて、内容が相続手続きにより現実のものとなるよう、専門家の適切なアドバイスの元で行う遺言書作成をお勧めします。
いきいきライフ協会®は、「生前対策」「身元保証」「死後事務」のプロフェッショナルです。遺言書に関するお悩みやアドバイスなども承ります。東京・神奈川の皆様にとってより良い遺言書が作成できるよう、必要書類の収集や内容への適切なアドバイスなど、幅広いサポートを行っております。初回の無料相談を行っておりますので、少しでもご不安やご不明点などございましたら、ぜひお気軽にいきいきライフ協会®までお問い合わせ下さい。