任意後見は、将来的に認知症等で判断能力が低下した時の備えとして用いられる制度ですが、任意後見とは異なる手法の認知症対策として、最近では「家族信託」も注目されています。
「どの認知症対策を選べばよいのだろう?」とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、任意後見と家族信託は併用することが可能です。どちらか一方だけを選ぶのではなく、それぞれの特徴を生かし、ご自身の状況に合わせて上手に組み合わせるのもひとつの方法です。
こちらでは、任意後見と家族信託について解説いたします。
任意後見と家族信託の異なるポイント
任意後見も家族信託も認知症対策として活用されるものですが、それぞれ異なる特徴をもっています。
財産管理が開始されるタイミング
家族信託と任意後見、いずれもご本人に判断能力が十分ある元気なうちに契約を結ぶものですが、財産管理が開始されるタイミングは異なります。
任意後見の場合、ご本人の判断能力が低下し、おひとりで物事を決めることが困難になったときに、任意後見が開始され、後見人がご本人に代わって財産管理を行います。
原則としてご本人に判断能力があるうちは、任意後見は開始されません。
一方、家族信託の場合は、財産管理が開始されるタイミングを契約の中で自由に設定できます。
財産管理の開始に委託者の判断能力の有無は関係しないため、契約後すぐに財産管理を受託者に任せることも可能です。
身の周りの支援(身上監護)の可否
ご本人の生活・介護・療養で必要となる手続きを代行するなど、身の回りの支援を行う権限を「身上監護権」といいます。任意後見では任意後見人に身上監護権が認められていますが、家族信託の場合は、受任者に身上監護権はありません。
例えば、ご本人が認知症等で介護施設に入居する場合、任意後見人はご本人に代わり入居の契約を行うことができます。ただし、任意後見人は入居時の身元保証人になることはできないため、別途身元保証人を確保する必要があります。
任意後見と家族信託の併用について
任意後見と家族信託、それぞれできることとできないことがあります。
こちらでは双方の足りない部分を補い合うための併用方法をご紹介します。
財産管理以外は任意後見の活用を
家族信託で受任者に任せることができるのは、信託した財産の管理・運用・処分です。
生活・介護・療養で必要となる手続きの代行、身の周りの支援や、信託していないその他の財産管理も依頼したいのであれば、任意後見を併用し、ご自身の指定した任意後見人に対応してもらうとよいでしょう。
任意後見人が行う財産管理は、財産の現状維持を前提としています。
そのため、投資や不動産運用など、積極的に財産管理を行うことはできません。
財産を積極的に運用してほしいのであれば、家族信託を活用し、運用を希望する財産を信託財産として契約することをおすすめいたします。
お亡くなりになった後の財産承継には遺言書の併用を
家族信託は財産管理を任せるための契約ですが、中には信託できない財産もあります。
また、任意後見についてはご本人がご存命の間しか効力を発揮しません。
ご本人がお亡くなりになった後の財産の引き渡しについて指定する場合は遺言書の作成をおすすめいたします。
遺言書を併用することで、お亡くなりになったあとの財産承継も円滑に進むでしょう。
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